どーもみなさまお疲れ様です、あーんどご無沙汰しております。
雛祭りもとうに終わってしまいしたが、ビール、祭っておりますでしょうか。(ない。。。。。
ワタクシはといえば相変わらずモチベーションが低下したまま、
ソシャゲやったりビール飲んだりソシャゲやったりプレモル祭ったりしていたわけですが、
これだけ経ってもまだ、ワタクシがプレモル大使に任命されない、というのはどういうことでしょうか(怒怒怒怒怒(ジョジョ的な立ち方。
私は今日も昨日も、先月も先先月も、去年も一昨年も、一途にプレミアムなモルツを推しておりますのに、
いい加減にしてほしいものです。だからやる気でないんでしょうか(違う。。。。。
というわけで、テンセグリティのお話、と思っていたのですが、
『理学療法』に面白い記事が出ていたので、そちらを先に紹介したい次第です。
『理学療法』の2018年2月号は、「歩行と理学療法Ⅰ:臨床歩行分析の基礎と実際」という特集だったのですが、
その特集に東京大学大学院の横山光氏と中澤公孝氏の執筆した記事があります。
さんざん脊髄のシナジーが大事、脊髄勉強しなおさなきゃ、と言ってきたわけですが、
やっぱり脳も大事だよね、と目を開かされた内容となっております。
当然、脊髄も脳も両方大事なわけなんですけれども、
最近、脊髄の重要性を強調しすぎるあまりに、そこにばかり答えを求めすぎていなあと反省したところでして。。。。。
簡単にではありますが内容に関して紹介しますので、購読されている方は是非ご覧ください。
「正常・異常歩行の神経生理学的理解のポイント―筋シナジーに基づいて―」
筋シナジー仮説とは、ヒトの運動は少数の「筋シナジー」と呼ばれる、
複数の筋肉のひとまとまりの活動を組み合わせて生成されるという運動制御仮説です。
手指の運動の筋シナジーが脊髄に表現されているというのは、以前紹介した記事にございます。
→
http://bontanokiso.blog.fc2.com/blog-entry-248.html下肢もまた、50以上の筋肉が存在しており、その活動の組み合わせは時間的にも空間的にも膨大なものになります。
この複雑さがヒトの歩行運動においてはどのように克服され、周期的・自律的な歩行が達成されているのかということは、
歩行の成り立ちを神経生理学的な立場から考える上で非常に重要であるわけですね。
ヒトにおいては侵襲的な実験はもちろん行えませんが、
脊髄完全損傷患者の脊髄への硬膜外電気刺激によって下肢の複数の筋肉に協調的な活動が生じることが確認されおり、
ヒトの脊髄も下肢筋シナジーを生成している可能性が高いと考えられております。
では、侵襲的な実験ができないヒトにおいて、筋シナジーをどのように評価するのかということになるのですが、
計測した表面筋電図に対して数学的な処理を行うことで間接的に抽出するそうです。
そう……………つまり……………なんやかんや! ですな(どん!
実際の具体的手法は私の理解をぽーんと軽くこえて見えないお星様になってしまいましたので、
本文をご参照ください。。。。。近くても見えないけどね。。。。。
その結果としてですね、本文では健常者の歩行筋シナジーを提示するとともに、
脳卒中の患者様と健常者の歩行時の筋シナジーの比較を行ったClarkらの研究を紹介しています。
Clarkらは、多くの脳卒中患者では歩行時の筋活動が単純化しているほか、
主動筋と拮抗筋の共収縮も生じていたことを報告しているそうです。
この単純化、共収縮化された筋活動は、健常者に比べ少ない数の筋シナジーで生成されており、
さらに脳卒中患者の筋シナジーは健常者で抽出された筋シナジーが融合したものであったとも報告しているとか。
これらの結果から、脳卒中患者も脊髄に筋シナジーを生成する神経機構を有するものの、
脳が損傷されたために個別に筋シナジーを活性化させることが困難になっているのではと推察される、と述べています。
この部分にワタクシ、今更ながら(ほんとに今更ですが)、
じゃあリハでどうやってその部分を個別的に活性化させて協調的な運動を達成できるんだろう、
どんな運動感覚経験を運動療法として提供したなら、それが達成できるんだろうと、
改めて悶々としはじめたわけなのですが、どうにもまあ浮かばないです……ガックリ。
今のままでは全然足りない、ということはわかるんですが、
じゃあどうするのか、というと途方に暮れてしまいますね。
もっと気軽に筋シナジーが評価できて、どういう治療をするとどういう風に筋シナジーが変わっていくのか、
という経過を追えれば何かヒントがありそうなんですが。うーん。
なんにせよ、ここでご紹介したのはほんの一部で、
非常に興味深い内容でしたので、講読されている方はぜひ手に取って見てください。
【引用・参考文献】
・横山光・中澤公孝:正常・異常歩行の神経生理学的理解のポイント―筋シナジーに基づいて―, 理学療法35巻2号, 120-128, メディカルプレス, 2018
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どーもみなさまさらにさらにご無沙汰しすぎております。
新年の挨拶もできぬまま、気づけば2月! 下書きは1ヵ月ほど前に終わっていたにもかかわらず、このありさま。。。。
うーん、モチベーションがあがらない。
そのうえ来年度は本格的に教育係も押しつけられそうで、さらにモチベーションがあがらない。
私はあまり、「教育」という言葉が好きではないし、「教育」という言葉をそれほど信じてもいないんですよね。
大体の場合、「教育」する立場が良かれと思っていることの、一方的な押し付けになっているような気がしまして。
そうは申しましても、やはり経験年数によって提供できるリハに大きな違いがあっては患者さんにとっての損失ですし、
一定の水準のリハを行える体制づくりは必要なので、臨床で必要な知識・技術を集中的に伝えることは重要です。
「教育」という言葉が好きじゃないからといって、
それに代わる言葉がじゃああるのかと問われれば、浮かばないですしおすしビールは2018年もプレモル激推し。
まぁ、2018年更新1回目からのそんな愚痴はどうでもよいとして、
今年の目標は、1ヵ月に1回は休肝日を作る……じゃなかった、1年機嫌よくいること、ですかね。
去年はちょっとうまくいかないことも多かったので、今年は心を入れ替えて、と。
機嫌悪い人には話しかけたくないですもんね。
とは言っても、ちょっとしたことでイライラしちゃったりとかもあるんですけれども、
まずまずまずまず、そこはプレモルでも飲んでほら、なごみなさいな、ということで乗り切りたいと思います。
それでは、本日より人体における衝撃緩衝系の最後のカテゴリ、テンセグリティのお話をいたしましょう。
1回目はテンセグリティとは何ぞや、という基礎のところを解説します。
テンセグリティ。。。。。
元は建築の分野の概念なのですが、
かの有名なアナトミートレインのトーマス・マイヤー氏の本に記載がありますので、
セラピストでも耳にしたことがある方もいることと思います。
「テンセグリティ:tensegrity」という言葉は、バックミンスター・フラーが提唱した構造で、
「張力:Tensile」と「統合:Integrity」という2つの単語から作られた造語だそうです。
硬い圧縮材と弾性を持つ張力材の2つの部材からなり、
圧縮材どうしを直接結合させるのではなく、圧縮材を張力材で結合した構造です。
例えば、レンガ造りの建物ではレンガという硬い材料を積み重ねることによって、
木造建築であれば木材という硬い材料を組み合わせることによって建物を作りますよね。
しかしこのテンセグリティという構造は、こういう硬い材料を直接組み合わせるのではなく、
硬い材料と硬い材料を、弾力性を持つ張力材で結合させて構造を作ります。
言葉ではイメージすることの難しい不思議な構造体なのですが、
分かりやすさに定評のあるこのワタクシの画力を持ってしてもですね、どうにも描けそうにない、ということで、
引用・参考文献の2あたりをぐぐっていただけますと、、テンセグリティロボットの写真があります。
その他、「テンセグリティ」でぐぐっていただけると、様々な写真を見ることができますので、興味がある方はぜひとも。
テンセグリティ構造の特徴は、より少ない数の部材で安定した立体が成立する、という点です。
また、単位空間あたりの重さを減らすことができることに加え、張力材によって全体の剛性が決定されるため、
圧縮材を選ぶことで剛性を維持しながら軽量化を図ることができる、という特徴もあるとのこと。
さらに、テンセグリティ構造は圧縮材を組み合わせた構造物と違い、弾力性を持ちますので、
テンセグリティ構造の一部に力がかかったとしても、構造体はその力を受けてたわむことができます。
つまり、衝撃をうまく緩衝することで、安定性を得ているともいえるのではないでしょうか。
こういったテンセグリティ構造の特徴を見た上で我らが人体を振り返ってみると、
実は人体もテンセグリティ構造と似たような構造をしているのではないか、ということが提案されているんですね。
骨という圧縮材が、結合組織という張力材により結合されていると考えると、
確かに人体がテンセグリティ構造となっているというのは納得です。
(続く)
1)Thomas W. Myers(著), 松下松雄(訳):アナトミー・トレイン―徒手運動療法のための筋筋膜経線, 医学書院, 2009
2)川井郁弥, 平井慎一:ストラット駆動型テンセグリティロボットの転がり移動の実験的評価, 第20回ロボティクスシンポジア予稿集, p396-401, 2015
3)柴田瑞穂, 西條文雄, 平井慎一:テンセグリティ型柔軟移動ロボットの実験的検討, 第26回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2008
みなさまご無沙汰しすぎております。
もう今年は更新無理かなと思っておりましたが、
なんとかギリギリ滑り込みセーフ、今年最後の記事を更新しに参りました。
忙しかったのもありますが、なんだかモチベーションが保てずに、ブログにアクセスしない日々が続きました。
臨床や職場仲間での勉強会は今まで通り取り組んでいましたが、
外に発信するということに関して、どうにも腰が重くなっておりまして……
研究などの新しいことを始めた一方で、諸般の事情から今までやってきた場所から離れたり、
地域の勉強会もやめたりと、なかなか変化が多い一年であったせいもあると思うんですが、まあ、どれも言い訳ですね。。。。。
更新ペースは亀ですが、そろそろプレモル片手に気合いを入れ直して、ブログを再開したいと思います。
今年は衝撃緩衝系のお話で一年が終わってしまいましたが、
前回までは組織の物理的性質である、粘性・弾性とはなんたるかについて説明しておりました。
本日はそれをまとめて、来年のテンセグリティの話へとつなげましょう。
衝撃緩衝のお話に戻りますと、人体における衝撃緩衝とはただ単に体に加わる力を受け止めるだけでなく、
そのエネルギーをため込んで次の運動のために利用するという、効率のいい動きのためにとても重要な機能です。
ヒトが動くということは、筋力などの内力を発揮して外力を生成・利用するということでしたね。
我々は筋出力そのものだけで動いているわけではありません。
例えば側臥位経由で起き上がるときには床を腕でぐっと押して、床から反力をもらって起き上がりますし、
歩行は重力による落下のエネルギーを巧みに利用することで達成されています。
しかし、力を利用するということは、当然のことながら、体に衝撃が加わるということです。
例えば、踵接地の際には床から上後方に向かって床反力が生じますが、
その衝撃を足部の機能や下肢筋の遠心性収縮などの筋活動、コア筋の活動により吸収することで、
我々は身体にストレスなく活動を続けることができます。
このときの衝撃が人体に備わった衝撃緩衝能を超えてしまうと、
その力は関節構成体などの組織へのメカニカルストレスとなり、組織にダメージを加える可能性があります。
20cmくらいの段から降りても何とも感じませんが、
1mぐらいの場所からジャンプすると、ジーンと足の裏が痛くなるかもしれませんし、
50mぐらいの場所からジャンプすれば、私ならば飛べますが(よいこのみんなはしれっとウソをつくような大人になっちゃダメだよ☆、
普通は落ちてあちこち骨折して生命活動は停止してしまうことでしょう。
したがって、ヒトの動きが内力や外力などの力を生成・利用することで成立している以上、
その力を受け止め、利用するための構造やシステムは健全な動きのために重要です。
その衝撃緩衝システムの1つとして、1つ前のカテゴリでは脊柱のS字カーブについて解説し、
今回は弾性や粘性という組織の持つ物理学的な性質をご紹介した、ということになります。
細胞は粘弾性を持ちますので、人体を構成する物質の持つ性質として、
どちらの性質も理解する必要があると個人的には考えております。
まあ、ざっくり言えば、健常に比べて硬度が高くなっている組織は動きにとって不利となる可能性が高いので、
硬度を低下させてモビリティを引き出しましょうと、それだけなんですけども。
弾性は固体の持つ性質で、「力を加えると変形するんだけれど、力を取り除くと元に戻るよ」という、
バランスボールみたいな性質であり、コア・スタビリティのところで一度お話しております。
軽く復習しますと、下部体幹は腰椎があるのみで骨性の支持に乏しく、その安定性は腹部筋活動によりもたらされるわけですが、
コア筋がしっかりと発火して腹腔内圧を高めることで、動作時の衝撃をしっかりと受け止めることができると考えられます。
例えば歩行を例にとりますと、踵接地の際に地面から加わる衝撃を、
コア筋がまるでバランスボールが力を受け止めるように受け止めてポテンシャルエネルギーをたくわえ、
そのエネルギーは立脚中期に向けて重心を上方に移動させる運動エネルギーへと利用され、
立脚中期で重心位置が最も高くなると、今度は重力を利用して落下し位置エネルギーは運動エネルギーに変換される、
というように、エネルギー効率のいい歩行にコア筋活動が貢献するわけですね。
力を受け止め、変形して、解放して、元通り。
それが弾性ということになります。
一方で、忘れてはならないのが流体の性質である粘性。
人体の構成成分は半分以上が水分ですから、流体の性質というのもきっちり考える必要があります。
人体における物質輸送、そして恒常性をいかに保つかということを考える上でも、
ヒトの身体の流体がちゃんと流れているかな、という視点はとても大事だと感じております。
この流体の性質が盲点でして、従来の養成校教育で習うバイオメカニクスなどでは、
人体を剛体として理想化して扱ってしまうので、流体の性質に関してはまーったく触れられてこないんですよね。
だから、粘性? 何それプレモルよりおいしいの??? 状態になってしまうわけです。
粘性とは、またまたざっくり言って、ねばねばしている性質とか流れにくさのことで、
一応定義を載せておきますと、「流体中に速度の異なる領域があるとき、これを一様に平均化しようとする性質」でありました。
流体の変形に対する抵抗力であり、分子間の結合力をある尺度であるともいえます。
粘性における衝撃緩衝にも、「形が変わる」という性質が効いてきます。
力を受け止めるときにやわらかく変形することで加速度を減じることができますから、
床に卵を落とせば割れてしまいますが、ゲルなどで作られた衝撃緩衝剤の上に卵を落とせば割れる可能性はぐんと減るわけです。
では弾性と粘性の違いは何かと申しますと、弾性は変形しても力を取り除くと「元に戻る」性質でしたが、
粘性では力が取り除かれても元に戻るわけではないということです。
実際の衝撃緩衝材の構成は、弾性物質や粘性物質、その組み合わせなどいろいろあるようですが、
ゲルなどの緩衝材が変形することで外部からの衝撃や振動を和らげて、保護すべき対象に伝わる力を減じています。
また、筋膜の硬度が上昇するということは、
組織を構成する線維の密度が増加することで細胞外基質の粘度が増加することである、ともご紹介いたしました。
基質の粘度が増加して流動性が低下しますと、硬度が上昇してしまうほか、
線維と線維の間の滑走性、組織と組織の間の滑走性が低下しますので、モビリティ低下の原因になります。
最近では、細胞核の硬さとバネ弾性がDNAによりもたらされているということも明らかになりましたし、
人体を構成する物質の成り立ち、そしてその性質を考えますと、粘性・弾性という性質は押さえておいて損はないかなと、そう思う次第です。
それでは、本年も亀更新の当ブログにお付き合いいただきありがとうございました!
来年もあまり更新頻度はあげられないとは思われますが、気の向いた時に足を運んでいただければ幸いです。
それでは、よいお年をお迎えください!
みなさまお疲れ様です。
当地域はなかなか台風が直撃するということが少ないのですが、
今回はわりと強めに当たりまして、遭難しそうになりながら出勤して参りました。
台風の日は休校ならぬおうちから出てはいけない宣言がなされるとよいのですが、
そうもいかないのが医療・介護の現場ですよね……がんばります、はい。
さて、本日は以前書いた記事に誤りがあったことに今更ながらに気が付きまして、その訂正版でした。
衝撃緩衝の話に戻るために過去記事をさかのぼっておりましたところ、
どーにもこの図はへったくそなうえにおかしいな(自分で書いたものです)と思い至り、
これは訂正しないと、と冷や汗をかきながらあれこれ考えておりました。
歩行における慣性力に関しての記載で、2015年の12月の記事です。
そちらの方は削除して、この記事へのリンクを結んであります。
何が間違っていたかと申しますと、歩行時の前額面状での慣性力の生成に関して、
遊脚側の外転筋の作用により重心の立脚方向への移動への急激なブレーキがかかり、
立脚側への慣性力が生成される、としている点です。
そう教わったからと思い込んでおりましたが、
改めてこの図を見ていて、そんな作用、遊脚側の外転筋にあるのかな、と思うに至りました。
もっと早く気が付くことができればよかったのですが、
これが認知バイアスというものですね、当時は疑問に思うことができませんでした。
セミナーでそう聞いたからそうなんだろうと、そう考えていたのですが、
セミナーの中で私が聞き間違ったのかもしれませんし、勘違いして覚えてしまった可能性も否定できません。
わざわざコメントまでいただき、立脚側の外転筋にも内転を制動することで慣性力を生成させる作用がありますと、
そうお返事しておりますのに、遊脚側で本当に外転筋がそのような働きをしているか疑問に思えなかったのは、
お恥ずかしい限りです。申し訳ありません。
今回、改めて文献を調べてみましたが、遊脚側に関する知見は見つからなかったので、
立脚側の外転筋による慣性力の制動に関して、改めて記載していきます。
歩行中のCOGはゆるやかな正弦波用の曲線を描いており、
単脚支持期の際に最も支持側に移動し、両脚支持期の際にはほぼ中央にある、というように、
右にいったり、左にいったり、という波を描いていくことになります。
しかしながら、単脚支持期の際にも完全に足部の上に身体重心が位置する、ということはなく、
単脚支持期の際には重心は支持基底面から外れているわけですが、転ぶことはありません。
これを可能にしているのが慣性力、ということになります。
立脚後期には股関節外転筋が重心を反対側に押し出し、
そうして対側下肢の立脚が始まりますと、重心の側方移動につれて立脚になった側の股関節が内転していくわけですが、
それを立脚側の股関節外転筋の作用により制動し、その際に慣性力も生成される、という形になります。
うん、どうにもわかりにくいので、具体的に右の立脚で考えてみます。
右の立脚初期には、左の立脚後期の際の左外転筋の作用により、勢いよく右方へと重心は側方に移動してきます。
それに伴い右股関節は内転してきますが、右の股関節外転筋群が働くことによって制動され、
その制動により生じた慣性力によって重心はその後もう少し右方に移動してから左方へと戻り始め、
右側の外転筋が再度作用して、重心は左側へ押し出される、ということになります。
時間のあるときにまた図を描きたいと思いますが
今は取り急ぎ、記事の訂正の必要があると思い、文章のみで掲載しております。
(へたくそなわりに時間だけはかかるんですよね……手書きの図……パタリ)
このように、左立脚後期の外転筋作用による重心の右方への移動を、
右の外転筋により制動しつつ、生じた慣性力で左の振り出しを可能にするための右への重心移動を行い、
右の立脚後期には再び右の外転筋が作用して左側へ重心を移動させ、
左の立脚が始まると今度は左側の外転筋の作用により左側への重心移動を制動し……
というように、前額面状の重心移動は紡がれていくわけです。
このように立脚側の外転筋が生み出す慣性力も利用して重心の側方移動を行うからこそ、
5cmという幅で重心を左右方向にキャッチボールするような、
円滑かつエネルギー効率のよい歩行が行える、ということになります。
今回は自分のいたらなさをつくづく感じて、もうがっくりきております。
思い込みはおそろしいですね……ほんとがっくりでございます。
記事を訂正してお詫びさせていただきます。申し訳ありません。
今後も間違いがあったり、考え方が変わって以前の記事はしっくりこなかったり、
ということが出てくると思いますので、定期的に振り返って訂正していきたく思います。
もっと自己チェックしなければ、と痛感した出来事でございました。
まだまだまだまだまだまだ、です。
深く反省しつつ、次回から衝撃緩衝系の記事に戻ります。
【参考文献】
山岸茂則(編):臨床実践 動きのとらえかた 何をみるのか その思考と試行, 文光堂, 2012
どーもみなさまお疲れ様です。
セミナーを企画しておりましたら、こんなに時間が空いてしまいました。
遠くから講師の方に来ていただいたセミナーが初ということもあり、
あわあわしているうちにブログ更新は滞ってしまいましたが、
地域のセラピストの方に非常にお得な値段で素晴らしいお話を聞いてもらうことができて、私としては大満足なんであります。
これは、講師の方が経費だけでいいよ、と言ってくれた、そのご厚意によるものです。
ただ、今回はそれでお願いしましたが、それだけではいけないなあとも思っていて、
どうにかこう、地域間の格差なく、勉強したいと思うセラピストが等しく知識にアクセスできて、
かつ教える側にもハッピーセットのおまけとかいちご煮以外の対価を受け取って欲しいんですよね。
どうにかならんものか、、、、、うーむ、新しいアイデアのためには、そう、プレモルが必要だ! そうだ! プレモル飲もう!!!
と、いうわけで(何が???)、本日もうひとつプレスリリースを紹介しまして、
また通常運転に戻っていきたいと思います。
本日は、2015年の「感覚は運動に変換される、しかも脊髄で!」という、
衝撃的な研究成果を報告してくださいました関和彦氏らの研究グループによる新たな報告です。
『筋シナジー説』の神経基盤を解明
―手指の多彩な運動を実現する神経メカニズムが明らかに―
⇒
http://www.ncnp.go.jp/up/1500619496.pdfヒトの運動は約400個の筋肉によって駆動される、約300個の関節の協調的な動きによって達成されているわけですが、
我々の神経系がそのように自由度の高い身体をどのように動かしているのかという問いは、
運動をとらえるうえで非常に大きな問題であり、様々な仮説が提唱されてきました。
例えば、古典的な捉え方であるピアノキー方式の制御のように神経系と筋骨格系の関係を考えますと、
脳の神経細胞のこれがこの筋を支配して、あの神経細胞があの筋を支配してと対応させて考えるわけですが、
この運動のときはこのA神経細胞とB神経細胞が発火して、
A筋を30%使って、B筋を50%使って、しかもその背景には姿勢制御のための筋も発火しているから、
その姿勢制御のための筋を支配する神経細胞がこれとこれで発火してうーんわからん! となってしまいます。
そもそも、そんな制御の仕方をしていては、神経系が行わなければならない処理は莫大なものとなり、
環境適応的な運動にとてもじゃないけれど追いつかない、そんな負荷には耐えられない、
ということになってしまう可能性が大きいのではないでしょうか。
これはコンピュータの制御上も大きな問題で、
例えばロボットハンドを開発する工学系の分野においてこのような考えで運動を制御しようとしたところで、
27個の筋と18個の関節から構成される手の動きを達成しようとしても、筋・関節の組み合わせのパターンは膨大なものとなり、
次世代コンピュータの処理能力を遥かに超えた計算を瞬時に行う必要があるそうです。
そこで、ロボットハンドの開発においては、「筋シナジー」によりハンドを制御しようという考え方が提唱されてきました。
多数の筋や関節からよく使われる組み合わせと、
その際に必要な活動パターンをあらかじめ複数作っておき(これがシナジーですね)、
実際にロボットを動かす際にその中から適切なシナジーを選択して使用することによって、
コンピュータにかかる制御の負荷を大幅に減らすことができるんですね。
今回、関和彦氏らの研究グループは、この「筋シナジー」に着目して、
「霊長類の神経系は筋シナジーの原理にもとづいて膨大な数の筋・関節を制御している」という仮説を立て、検証しました。
対象は、身体の中でもきわめて複雑な筋骨格構造を持つ手指の運動です。
手の筋シナジーが神経系の中でどのように表現されているのか、サルで調査が行われました。
実験では、サルにレバーをつまむ動作を行わせたときの脊髄の神経活動と筋電図を記録し、
その両者の関係を評価することによって、筋活動を作り出す脊髄神経の活動を記録したそうです。
結果として、脊髄神経の特徴は手指の筋シナジーと密接に関係していることが明らかになったわけですが、
これはもう、実際にリンク先にとんでいただいて、図を見ていただきたいと思います。
脊髄の神経活動と筋活動の関係が、美しく描き出されています。
具体例はリンク先を参照していだくとして、結果のみ記載しますと、
14個の脊髄神経において解析を行った結果、すべての神経はシナジー1からシナジー3の3つのパターンのうちの、
いずれかの筋の組み合わせを表現していることがわかりました。
また、個々の脊髄神経の活動はシナジーの活動と強い相関を示さないことがわかりましたが、
脊髄神経全体としてみると、脊髄神経の活動軌跡は筋シナジーと近似していることも判明しました。
この結果が筋シナジー仮説に与える重要な示唆として、
①理論上の原理であった筋シナジー仮説が、実際に神経系による手指の運動制御に用いられていることが証明された
②脊髄神経において筋シナジーが表現されていることが明らかとなった
③筋の組み合わせと活動の選択が、それぞれ別のメカニズムによって行われていることが示された
という3つをプレスリリースではあげております。
脳卒中の方々などの手指の機能の再獲得に関わる重要な知見であり、
今後の研究の進展から目が離せませんね!
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